皆様方におかれましては、健やかに新しい年を迎えられたことと存じます。
さて私こと北島秀雄は父親（一九二八年に時計店開業）から業務を世襲継承して以来創業九五年を迎えました。永年、皆様方の多大なるご厚情をいただきました事、心より厚く御礼申し上げます。
高田若槻線の道路新設の為、吉田一丁目（相ノ木通り）より現在地への移転を余儀なくされた後も妻と二人三脚で通算六〇余年に渡り、業務経営に尽力して参りました。ところが、昨年十月、それまで病気一つしてこなかった妻武子を病で亡くして以来、心にぽっかり穴が空いた毎日を過ごしております。妻に毎日の生活のみならず工房の経営も含め、いかに支えられてきたかを今になり痛感しております。
妻と共に営んできた仕事、経営を継続していくことが気持ちの上でも体力的にも来年一月満九十歳を迎える私にとって多大な負担になる事を自覚しており、令和四年十二月三十一日をもちまして業務を終了する事を決心いたしました。長年に渡りご愛顧をいただきました事、衷心より御礼申し上げます。
誠に有り難うございました。
令和五年一月
北島時計工房 長野県卓越技能者 北島秀雄